どうも、国見小道です。先日、おひとりさまインスタンスを立てました ので、ぜひリモートフォローをお願いいたします。
さて、Mastodonユーザー発のイベント、「Petit Mastodon Constructive Meetup」 に行ってきました。4名のLTを聞いて、気になったトピックや総合して今後のMastodonで大事になってきそうなことをざっくりと書いていきたいと思います。
実況用ハッシュタグが用意されており、現場で聞いてた人や生放送で聞いていた人は「mastodon_meetup」タグで実況を行っていました。以下のハッシュタグより参照できます。さほど量はないので、サクッと読み切れるはずです。
…個人的には、上のように「インスタンスやアカウントによってハッシュタグの見え方が変わる」現象はあまり好きではないです。中央集権を増長させそう。
ぐすくま(@guskma@abyss.fun)さん
発表スライド:「テーマインスタンス管理者が見た!現在のマストドンとこれからの分散時代!」
「メイドインアビス」が好きな人のためのテーマインスタンス、「Abyss.fun」。様々な施策をしており、その結果どうなったか、またインスタンスの規模による傾向などを算出、考察しています。
https://speakerdeck.com/guskma/mastodon-meetup-petit-2018-06-16-guskma
テーマインスタンス運営のエッセンス
「デフォルトハッシュタグ」と「キーワードタイムライン」という施策。そしてその結果、ローカルタイムラインが健全化したという話。これはぜひ各地のテーマインスタンス運営の民に届いてほしい話です。
自分でもやってみてわかったのですが、「テーマインスタンスごとに垢を生やして管理する」というのはとても面倒で、しかもインスタンスに「閉じた」運用になる。そうすると、たとえインスタンス内で面白い話が出ていても、拡散がされないです。これは「テーマインスタンス」としては寂しい事ではないでしょうか。それを打開する策として、リモートでもローカルインスタンスで話されていることが分かるのが「デフォルトハッシュタグ」や「キーワードタイムライン」なのです。
「擬似アカウント」を作成して垢を生やさず中を覗くこともできますが、BTやfavにワンステップ追加されるので、やはり煩雑です。メイン垢が1つあって、デフォルトハッシュタグを検索することで別のインスタンスに顔を出すことができる、それが当たり前になったらテーマインスタンスもFediverseになっていくだろうと思います。
スライド後半では「LTL流速とリモートインスタンス寄与の関連性」を検証、考察していました。是非スライドを読んでビビッとキテいただければと思います。この2つを関連させたグラフを四象限に分けるという論法は面白かったです。各象限ごとにどのような文化が形成されるのかが具体例と一緒に明示されると運営方針も固まりやすいのかなと感じました。
sasachi(@suzukisan@mstdn.jp)さん
発表スライド:「Mastodonというコミュニティでの僕が行ってきた試みについて」
思いついたらすぐ行動に移すお方、sasachiさん。思い付きをMastodon上で実行してどのような結果になったかを振り返りました。
スライド見当たらず。やってみた内容というのは、
- タイムライン小説
- Google Homeで遊んでみる(トゥートなど)
- mstdn.jpアドベントカレンダー
- マストドン文化祭
の4つだと記憶しています。
意外と見てくれている
どれも想定外の反響があったということですが、僕もそれを認識しています。長くmstdn.jpインスタンスにいる方がどのような楽しみ方をしているかは様々だと思いますが、「アウトプットは割と見てくれる」と考えて良いのではないかと思います。
ただし、この話は、ユーザー最大規模な日本インスタンスという土壌から生まれた結果なので、中小規模インスタンスやおひとりさまインスタンスの民がどれほど話題に登ることができるかは、仕組み改善の余地ありかと思います(ex. どこから見てもハッシュタグの内容が同じになる、など)。インフルエンサー(フォロワーの数が多く、発言に影響力が強い人)が拾ってくれるかどうかというのは今後も変わらなさそうな気はしますが。
あしゅふぃ(@ashphy@mstdn.jp)さん
発表スライド:「社内インスタンスを建てたはなし」
完全に社内からしかアクセスできないMastodonインスタンスが、どのような影響を与えたのか振り返りました。なお、「2000人規模の会社」という点に注目すべし。
https://speakerdeck.com/ashphy/she-nei-insutansuwo-jian-tetahanasi
社内コミュニケーションの活発化
会社が2000人規模であると考えると社内インスタンスを立てるのは良かったのではないかと思います。社外秘ぐらいなら喋れそう。また、「社内Mastodonをきっかけにオフ会が実現した」という話もあり、同じ会社なのに顔を合わせない人との新たなコミュニケーションが始まっていたのは面白ポイント高かったです。文字数上限的にも雑談としても使いやすいですよね。Slackとかのrandomチャンネルだとなんか違う気がするんですよね(個人の感想です)。
あと、オタクすぐどこでもSNS化してアニメ実況する。
墓場人夜(@vaginaplant@3.distsn.org)さん
発表スライド:「User Recommendation Systems for Mastodon and their Fairness」
Mastodonにはユーザーを見つけるためのレコメンドサービスがあるが、これらのサービスを公平/不公平の観点から「血祭りにあげた」。
https://hakabahitoyo.gitlab.io/slides/recommendations/
がっつり英語のスライドです。日本語で書かれているこの記事も併せて読むと理解が深まります:脱中央集権のためのデザイン: セレブのためのインターネットを99 %の手に取り戻す 今回のスライドと特に関係があるのは「デザインの累進性と逆進性」から先でしょうか。
「小規模なインスタンスや、無名のユーザーに光を当てていく必要がある」
発表内容は上記のブログに検証対象が増え、16パターンの「ユーザーおすすめ機能」、あるいは「ユーザーの見つけ方」を公平/不公平の観点から血祭りにあげてました。ユーザーの見つけ方にも、「脱中央集権的デザイン」が存在するという観点からの発表でした。
不公平である(脱中央集権に逆進的である)とされる項目は4つあるとしている:
- 大御所効果 … 過去に人気のあったインスタンスまたはユーザーが、その後も知名度を増やし続ける効果
- 正のフィードバック … ある現象がその現象それ自体の原因となることで、時間の経過とともに影響が際限なく発散していくこと
- シュリンクラップ効果 … 知名度とタイトルだけを見て選択しなければならない状況がもたらす逆進性
- ごり押しユーザー効果 … ユーザーおすすめ機能特有の不公平。1日のトゥート数が多いユーザーにより排他的なコミュニケーションがインスタンス内に形成される。
検証、比較対象についてはスライドをご覧ください。 https://hakabahitoyo.gitlab.io/slides/recommendations/
これは主に「よりFediverseなフォローの仕方を提示するもの」だと思います。スライドに挙げられている「レコメンド」も16パターンある通り実に様々で、ActivityPubの多様性を存分に見せている例だと思います。
一方で、Fediverse On Railsみたいな都合の良いものはなく、広がる連合の海をどう「ノって」いけばよいかというのがわかりづらい側面は確かに存在し、TwitterなどのSNSからの流入は、継続的にされてはいるものの2017年4月のようなブームみたいにはなっていないというのが現状です。※リンク先のdashboardはとても重いです。 画像を貼りますので、新しいタブで画像を開き、ご覧ください。
Usersと、期間指定を年に広げれば着実に増加しているということがわかります。mstdn.jp2年分のデータ推移はこちら。
また、switter.at というインスタンスが今年3月の終わりに誕生し、すごい勢いでユーザー登録数がのび、いまやfriends.nicoを抜いて全世界で4位のユーザー数を誇るインスタンスとなりました。
このように、マストドン、ひいてはFediverseが「終わった」などとは笑止千万であり、いまだ成長を続けています。
おそらくFediverseには、フォロワー10万の有名人だとか、つぶやきのシェアが1000を超えるような「インターネットセレブ」の存在は極稀…いやたぶん存在していないかもしれません。例えば砂漠に我々人間が住むかのように、そのような方々が住むには過酷な「仕組み」ができています。そういった意味で「インターネットセレブ」が移住する意味はほとんどないと思います。要するに、有名人からフォローしていくというのは筋が悪く、いかにして「小規模なインスタンスや、無名のユーザーを探し当てるか」という方向で攻めていくと面白いのではないかと感じております。
総評
各発表ごとに簡単な紹介を添えさせていただきました。添えた文章の量の違いはありますが、どれも実にエッセンスな発表で、どれもが貴かったです。思えば、インスタンス管理者向け発表が2つ、ユーザー向け発表が2つとバランスが取れていましたね。
僕が現在の日本インスタンスをいくつか訪ねて非常にもったいないと思うのは、だいたいのインスタンスが「内に閉じている」状態だと思います。確かにマストドンのローカルタイムラインという仕組みは「Fediverseスターターキット」として有用ですが、スターターキットのまま過ごす民が9割以上ではないかと。そんななか、外向きにしていこうという流れが今回の発表から感じられました。
では、実際に「外向き」になってFediverseの世界を広げて楽しむにはどうすればよいのでしょうか。楽しみの素材は今回の発表で明確に示されました。各自が適用の時です。 自分の「Mastodon/Fediverseの楽しみ方」はだんだんと出来上がってきていて記事に残す算段はできてますので、そのときはまたうちに来て読んでいただければなと思います。
ところで、夏コミ(C94)に受かりました。
金曜日、東メ03でお待ちしております!!!!